豪華客船で一緒に働いていたフィリピン人のマッサージ師と

私は海外の豪華客船にあるスパで、2008年の11月から2014年の1月まで、5年とちょっとの期間、船上鍼師として働いていました。契約数で言うと、合計10回ほどの契約をこなしたのですが、これはたぶん多い方ですね。船での仕事に合う合わない、というのがありますが、私には合っていたのだと思います。

今では1回の契約が7ヶ月に決まってしまったようですが、私が働いていた頃は契約期間はもっとフレキシブルでした。鍼師は1回目の契約だけは6ヶ月(延長も可能でした)でしたが、2回目以降の契約は、4ヶ月〜10ヶ月の間で自分の好きな期間で船に乗っていることができたのです。

なので私はだいたい4、5ヶ月働いては2ヶ月くらい休暇を取って旅行や海外ロングステイをする(笑)、という感じで自分にとっては理想的な生活で、5年といってもずっと船に乗りっぱなしだった訳ではありません。

豪華客船で仕事をしていた頃は、楽しかったことも、辛かったことも、本当にたくさんあり(笑)、今までの人生の中でも、もっとも充実していた期間だったんじゃないかと思います。

豪華客船で働くメリット

世界中を働きながら旅行できて、国際色豊かな友達ができる

仕事はかなり大変でしたが、仲間と過ごす楽しい時間や、色んな国々を訪れることが出来る喜びはかけがえのないものでした。

私は50か国以上の国を船で訪れ、50か国以上の国から来たクルーと一緒に働き、世界中に友達ができました。半年くらいの間とはいえ、一緒に良く働き、良く遊ぶので、とても仲良くなります。

船に乗ることになって日本でのアパートはすでに引き払っていたため、休暇中は友達の国を訪ねて過ごしたりすることもありました。船を降りた今でもフェイスブックなどで近況を伝えあったりしていて、ぜひ遊びにおいでと言われることも多いです。

豪華客船で働く国際色豊かなクルー達

英語力が格段にアップする

英語はもともと好きな方でしたが、かといって流暢に操れるほどでは全然なかったので、船に乗ってからとても苦労しました(苦笑)

最初はスパのミーティングでマネージャーの話している内容の半分も理解できず、よく後から友達に、さっきなんて言っていたの?と確認したものです。あとは、ボイスレコーダーに録音して後から聞いてみたり。なんとか業務に差しさわりのないように付いていくので精一杯でした。

なにしろ船には日本人は私一人だけ!というような環境で、船内のアナウンスもトレーニングも全てが英語ですし、誰も私の理解力なんか考慮しないで容赦なく話しかけてきますから、何とか英語力不足で船を降ろされないようにするのに必死で、サバイバル感が半端なかったです(笑)

しかも、鍼師は英語でのプレゼンテーションが仕事に含まれています。これには苦労しました。。。でも、このセミナーを英語で毎日のようにこなしたおかげで、英語力が格段にアップしたんだと思います。

そんな過酷な?環境で半年くらいたったころには、なんとなく英語だけでの生活にも慣れてきました。

それでちょうど半年くらい経ったころ、船がドライドックになりました。ドライドックというのは、船が定期的なメンテナンスのために陸に上げられることです。その間、乗客は乗せられないのでクルーもほぼお休み状態で、私たちスパのメンバーも、ドライドック期間中は数日おきにミーティングがあるくらいで、ほとんどの時間はサンフランシスコで遊んでいました。昼間は外で遊んで、夜だけキャビンに寝に帰るという感じです。一応食事も船でできました。

で、たまたまサンフランシスコにいた鍼灸学校時代の友達がサンフランシスコで働いていたので、何度か会って遊んだのですが、せっかく久しぶりに日本語で話せる機会なのに、なんと日本語がうまく話せなくなっていました!

話そうとしても、どうしても日本語が口から出て来なくてどもってしまったり、話の途中ところどころで英単語が出てきてしまうのです(笑)

その頃は、英語も慣れたとはいえまだ流暢に話せるレベルではなく、その上に日本語でもうまく話せなくなってしまったので、とても混乱しました。おそらく、英語だけで生活していているうちに、少しずつ英語で話すための回路が脳にできてきていたのだと思います。それで、きっと日本語を使う脳内の回路と混線していたんだと思います。

脳回路の混線といえば、一回目の契約が終わって日本に帰って来た時、外国人の知り合いと食事に行ったのですが、日本人の店員に英語で話しかけてしまったり、それで慌てて外国人の知り合いに日本語で話しかけてしまったりと、ヘンテコな行動をしてしまってその人にえらく笑われてしまいました。

なので、英語での生活は慣れるまでいろいろと大変ですが、続けていれば英語力は確実にアップしますし、自然に英語が口から出てくるレベルになります。独り言も英語になり、英語で夢を見たりもしますから(笑) それくらいになれば、確実に英語を使用するための回線が脳に出来上がっているということです。

最初は多少、脳回路が混線したりして不具合もありますが、続けていればだんだんと英語と日本語もうまく使い分けられるようにもなります。なので、多少英語力が不安でも、豪華客船で働くことに興味のある方は、ぜひチャレンジしてみる価値はあると思いますよ!

豪華客船で働くデメリット

もちろん、豪華客船で働くのは、メリットばかりではありません。

シャワーのみで、お風呂がない

私がもっとも辛かったのは、シャワーのみでお風呂に入れなかったこです。船長とか上級オフィサーだと、キャビンにお風呂が付いていたりするようですが、残念ながら鍼師のキャビンにはお風呂はありません。なので、船長や上級オフィサーと付き合っていたりすれば、お風呂に入れます(笑)

オフィサーと付き合っているスパの子達は、快適はキャビンで寝泊まりしていましたね。。。私はそんなに器用には立ち回れませんでしたが。

キャビンに窓がない

毎日、真っ暗な中で目を覚まさなくてはならず、朝が来ても分かりません。スパマネージャーやメディスパドクター(スパでボトックスなどの美容医療行為をするドクター)は窓のあるキャビンを使ってることが多かったので、羨ましかったです。

追記(2019年6月28日):私は窓のある部屋を使わせて貰った経験がないのですが、他の船で働いていた鍼師に聞いてみたら窓のある部屋を貰えた人もいたようです。なので運が良ければ窓付きのキャビンを使えることもあるようです!

半年もお風呂に入れないのも、日本人には辛いと思います。いくら暖かい場所をクルーズしていることがほとんどだといっても、船の中はけっこう冷やしているし、湯船は恋しかったですね。。。

それから、鍼師は一人用のキャビンを使えましたが、ほとんどのクルーはキャビンをシェアをしていました。気の合わないクルーと一緒になるとすごく辛いと思います。

インターネットが遅くて高い

インターネットが遅くて高いのも、人によってはかなりのデメリットかもしれません。

船内でのインターネットはサテライト回線を使っているので、スピードがすごく遅いんです。クルーがよく使用する時間帯など、酷い時には1ページ開くのにも何分もかかったりして、イライラします。しかも20ドル出して500メガバイトとかで、めちゃ高い。私はクルーバーで使う金額よりも、ネットに使う金額の方が多かったです。

でも港に降りれば無料または格安で快適なWi-Fiを使用することはできるので、よほどのネット中毒でなければインターネットの問題はなんとかなります。

豪華客船で鍼師として働くためには?

豪華客船と提携しているスパ会社のインタビューを受ける

豪華客船に乗って鍼師として働くには、通常、豪華客船の中にテナントとして入っているスパの会社のインタビューと研修に合格し、無事に契約を結ぶ必要があります。

船上スパの会社で有名なのは、スタイナー (Steiner Leisure) と、キャニオン・ランチ (Canyon Ranch) があります。

Seinerに直接応募する場合: https://www.theonboardspa.com/main/applicationform.aspx

日本の代理店を通す場合:https://byev.net/

海外での研修を受けて、合格する

インタビューを受けて合格したら、研修に参加することができますが、全員が船に配属される訳ではありません。この研修は職種によって研修場所が違うのですが、鍼師はロサンジェルスでたったの3日間です。

他の職種はロンドンにあるスタイナーアカデミーにてけっこう長期の研修があるみたいです。長い人だと数ヶ月とか。大変ですね。

それぞれ職種によって研修内容は違ってきますが、研修を無事パスすることができたら、豪華客船に配属されます。

豪華客船で働く

船上鍼灸師の仕事

鍼師は、船上で鍼を刺していれば良いだけではありません。

スパで働く職種の中でも、鍼師はちょっと特殊で、集客用の、啓蒙(営業?)セミナーを英語で行わないといけません。これが苦手な人には、かなり大変なんです。

ラウンジで鍼の集客セミナーをする様子

他の職種でも、慣れてきたらセミナーをさせられたりする場合もあるのですが、鍼師は絶対、それも船に乗って働き始めてすぐに、有無を言わさずにさせられます。

なので、鍼師のロサンジェルスでの3日間の研修は、主にコンサルテーションとセミナーの練習になります。いかに集客して、鍼の治療を受けてもらうか、という部分ですね。

この研修にパスできないと船に乗れないわけですが、コンサルテーションはともかく、人前で英語のセミナーをしないといけない、というのは私にとって最初は酷いプレッシャーでした。

でも、このセミナーを繰り返しすることで、英語力は格段にアップするし、セミナーが上手く出来るようになると売上もアップしていくので、ぜひ頑張りましょう。

スタイナーで働く日本人鍼灸師

最近では、かなりの数の日本人鍼灸師が、スタイナーを通して豪華客船で働いているみたいですね。しかも、結構みんな頑張っていて、評判も良いようです。

こんなに増えちゃったら、私の希少性もなくなってきたな〜(苦笑)と感じるこの頃です。

私がスタイナーのインタビューを受けた時は、まだ日本人の鍼師が雇われたことがなく、私を含め確か6名が合格したのですが、いわゆるスタイナーにおける日本人鍼師の一期生みたいな感じだったと思います。

今みたいな正式な代理店もまだ日本になかったので、以前にスタイナーで働いていた船上マッサージ師やヘアスタイリストの方たちが、日本でのインタビューをアレンジして下さっていた感じでした。

船で働き始めてからも、ネット上にはまだあまり情報もなかったので、色々と大変な思いもしましたが、日本人鍼師同士の結束も強く、Yahoo!でコミュニティを作って、情報交換も積極的に行っていました。

今でも、Facebook 上にスタイナーで働く鍼師のグループがあるのですが、乗っていた人か、インタビューに合格した人しか入れないのかな?運営は他の人がしているので詳しく分かりませんが、私も一応メンバーになっています。

晴れて船に乗ることになったら、このコミュニティに参加して、積極的に質問してみたらいいですね。誰かしら疑問に答えてくれると思います。

もし、私に個人的に相談してみたい、という方は、「お問合せ」よりご連絡下さい。